取材12日目

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「嘘だろ。」 昇が小さな声が呟く。僕も声を失っていた。 長い沈黙があったような気がした。 我に帰ったとき、昇が呟いた。 「これ、監禁してたのか?」 風がないはずの部屋で、なぜか寒気を感じていた。 柵の扉であろう部分を押してみると鍵は壊れていて、簡単に開いた。 中に入ったところで床のシミ以外には何もない。 刑務所のような簡易的なトイレや水道だけがついていて、 床は冷たいコンクリートだった。 「須崎雄太が、誰を何の目的で監禁するっていうんだよ。」 僕自身頭の整理ができていない。 監禁するなら、今までの情報では一人しか考えられない。 ただそれをなんとなく、信じたくない気持ちがあった。 「でも入り口の暗証番号はリビングにあったんだろ?」 そう。 須崎雄太は少なくともこの場所を知られたくない、 と思って工作したということだ。 誰に隠したかったのだろうか。 そしてこのシミは何なのだろうか。 考えがまとまらない。目の前が揺れる。 柵に捕まろうとした手は宙をかき、そのまま倒れた。
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