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「三崎さ〜ん。三崎晶太さんどうぞ〜。」
…来てしまった。皮膚科に。しかもその日の放課後に。わざわざ部活をサボって。
「…失礼します。」
羞恥心で押しつぶされそうになりながら診察室に入ると、少し年配の年配の男性医師が座っていた。
「こんにちは。今日はどうされましたか?」
「あの…、ニキビで………。」
「あぁ成る程。マスクを外してもらっても?」
そっとマスクを外すとじっと顔を見つめられる。マスクのない状態を見つめられるのが久しぶりで、ますます恥ずかしくなってしまう。
「いくつか潰れちゃってますね。炎上しているものもあるので漢方と飲み薬、あと塗り薬とローションを…。」
「あ、あの!」
トントン拍子で進む診察にたじろいでしまい、思わず声を上げてしまった。
「えっと、男でニキビの治療って来る人いるんですか?」
「ええ。最近は結構来られますよ。ちょうど君くらいの歳の子たちが。」
「あぁ。そうなんっすか…」
なんだ。割といるんだ。
ホッと胸を撫で下ろしていると、カルテを書き終えた先生が少しこちらに体を向けた。
「ニキビというのは、男女関係なく気になるものです。それに、『何とかしたい』という気持ちも。性別は関係ないと思いますよ。」
優しく微笑みながら言われ、無意識に入っていた肩の力がすっと抜けたのを感じた。“男だから”とか“どうせそのうち治るのに”とか思っていた自分がひどく馬鹿らしく感じる。
「あともう一つ質問が…」
「ん?何でしょう。」
「えっと…………。『女子はニキビのある男子は清潔感が無くて嫌』って言うのは……本当ですか……?」
「…………………はい?」
あ、これ質問間違えたな。
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