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「あのさぁ・・・、昨日の夕方、トバ湖の上に大きな虹が架かっただろう。お前は、あれをどこかで見ていたのかい?」
大して意味はないと思いつつも、どうしてもこれだけは聞いておきたかったのだ。
「あぁ、あの虹なら、ちょうどこの辺りから見ていたよ。でもねケッタロー、トバ湖じゃ、あんなのはしょっちゅうあることで、驚くほどのことじゃないんだよ」
人の想いのすれ違いとは、往々にしてこんなものなのだろう。
僕は黙って頷くと、そのまま席を立った。
店先を出ると、定期船はすでに接岸しており、乗客の乗り降りが始まっていた。
「ここで結構だよ。それじゃ、ジョージによろしくと伝えてくれ・・・」
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