33人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は早々にその日のうちに島へ渡るのを諦め、パラパッの船着場の近くで宿をとることにした。
部屋はすんなりと取れたが、僕以外の客は何故か殆どがインドネシア人の家族連れや、若者の集団だった。
陽気な彼らは場所を選ばずに、終始歌を唱い続けていた。ギターの伴奏付きで、フォークソングらしき歌を立続けに熱唱しているのだ。
しかも、それが一組や二組ではなく、よく耳をそばだてていると、壁の向こう側や階下からだけでなく、両隣りや向かいの宿からも、ギターの音色と歌声が響いて来ていた。
宿に入って少し休むつもりでいたのだが、これでは話にならない。僕は安息の場所を求めて、カメラバックを抱え戸外へ出た。
最初のコメントを投稿しよう!