悪魔に憑りつかれたお父さん

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 すると、お父さんは今度は俺は牛だ!と叫んで暴れ出し、牧草をくれ!牧草を食ったら満足して静まるから!と叫ぶので、お母さんは今から牧場に行けって言うのとぼやいて困り果てた。  そこで僕は知識をひけらかし、芝生はイネ科の牧草だから芝生を食べさせれば良いよと助言した。  で、お母さんは仕方なく芝生を刈ってお父さんに与えると、お父さんが芝生を食べたらしく静かになったので、お父さんを物置小屋から出してやった。  が、暫くしてからお父さんは腹が痛い!腹が痛い!と喚き出し、慌てふためいてトイレに駆け込んだ。またもや酷い下痢になったのだ。全くお騒がせなお父さん。案の定、その日も何遍もトイレに入って排便した。でも、そんなに臭くならなかった。食べたのが芝生だから。  それは兎も角、懲りないお父さんが或る日も例によって物置小屋に籠って妄想に耽っていると、突然、俺はアリクイだ!と叫んで暴れ出したので、お母さんはお父さんを物置小屋に閉じ込めるべくドアに鍵をかけた。  それに気づいたお父さんがシロアリをくれ!シロアリを食ったら満足して静まるから!と叫ぶので、お母さんは家にはシロアリなんかいないわよとぼやいて困り果てた。  そこで僕はお父さんに普通のアリじゃ駄目なの?と聞いてみた。  すると、お父さんがそうだ!シロアリじゃなきゃ駄目なんだ!と叫ぶので僕は知恵を絞ってアリを一杯捕まえた後、それらを白のタッチペンで塗って瓶の中に詰め込んだ。実に細かく面倒くさい手が汚れる作業だった。もう二度とやりたくない。全く世話の焼けるお父さん。  お母さんは僕から瓶を受け取って、お父さんに与えると、お父さんがアリを食べたらしく静かになったので、お父さんを物置小屋から出してやった。  が、暫くしてからお父さんは腹が痛い!腹が痛い!と喚き出し、慌てふためいてトイレに駆け込んだ。またまた酷い下痢になったのだ。全く愚にもつかないお父さん。
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