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この世界は息をするのもやっとで。
自分の心を守るだけでも精一杯で。
見なくてもいいもの、触れなくてよかったもの、
知らなくてもよかったことがありすぎて。
この目に焼き付いた鬼達の残像は今も色濃く残り。
無数の矢が刺さりすぎて未だに血を流し続ける心臓は時折、早鐘を打つ。
恐怖に痛みに苦しみに悲しみに踊らされて、
暗闇の中の螺旋階段はいつまで続くの?
階段を見上げるこの凍てついた目に光りなど宿らなくて。
闇、闇、どこまでも闇……
そろそろ休ませて。転落しそう――
落ちていく私の手を引いてくれたのは、私と同じ目をしたあなた。
この暗闇に星を彩らせるとあなたは云う。
「たとえ命に代えても」と。
暗闇にいすぎた私には、そんな景色は眩しくて似合わない。
けれど憧れるのはなぜ?
恐れなくこの目に星の明かりを映すことができたなら。
星降る世界に踏み出す勇気をもてたなら。
そんな強さをもてた頃、隣にいてくれるのはあなたがいい。
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