流れ星を信じて

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 約束通り、私は夜中に美菜を連れ出した。例の公園である。日程はちゃんと調べておいた。  それからベンチに腰掛け、2人並んで夜空を見上げた。  しばらく黙って見つめていると、流れ星が一つピカッと光った。あっという間に流れたが、それを皮切りに流れ星がドンドン降り注いできた。 「さあ、思う存分願いを言ってごらん」  美菜は呆気に取られていた。しかしその顔は次第に満面の笑みへと変わっていった。  私は今まで夢や願いは叶わないものだと諦めていた。妻のこともどこか心の奥底で諦めていた気がする。しかし、ただひたすらに信じて祈る大切さを、この小さい美菜が思い出させてくれたのだ。 「お母さんの病気が早く良くなりますように」  3回と言わず2人合わせて何百回とお祈りをしたあと、持ってきたお弁当を開けた。卵焼きがおいしくできている。
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