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貴史は、秀の後を追った。
近くの神社に入っていくのが見えた。
夜の神社は不気味で、貴史はぶるりと震える。
そっと覗くと、いた。
秀はもちろん、いなくなった兄やクラスメイト達が、集まって円を作っていた。
円の中央には、見覚えのある女性が両手を天にかざして立っていた。
あの、隣に座っていた良い香りの女性だ。
何かよくない事が始まってしまう。
貴史は不安げに様子をうかがっていた。
皆は円を作ったまま手を繋ぎ、腕を空に向かって上げた。
皆が一斉に、
「チキュウハ、イイトコロダ」
と言うと、白い光が空から降り注いだ。
貴史は口を閉じ、耳を塞いだ。
光はしばらく、くるくると貴史の周りを回っていた。
が、狙いを定めたかのように鼻から光が入ってくるのを貴史は見た。
と同時に、意識を失った。
空から降るまばゆい光は、次第に飛行船を形どっていく。
ぷしゅう、という音と共に、飛行船の搭乗口が開いた。
貴史や秀たちは、操られるようにたどたどしく、乗り込んでいく。
最後に乗り込んだ髪の長い女性は、冷たい眼差しで辺りを一瞥した。
「チキュウハ、イイトコロダ」
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