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「勘違いだ」
言語道断だ、とばかりに俺は翔琉の運転する車内で一蹴されてしまう。
「……翔琉、ごめんなさい」
ナビゲーターシートの俺は大きく項垂れ、謝罪の言葉を口にしていた。
「梨音は、このご時世で撮影が延期になった今期のドラマの共演者だ。俺の子ども役で出演予定の子役で、こんなにも時期が開いてしまうと仲がぎこちなくなるだろうから、って監督が。だから、撮影の合間に今日もカフェの近くで会ってたんだよ」
全て種明かしをされ、俺は翔琉を疑ってしまったことを酷く後悔する。
「だいたい、親子役をやるんだからグレーの瞳が同じなのはマストだろ。いくら何でも、俺の隠し子だなんて発想は安直すぎやしないか?」
怪訝そうに告げる翔琉に、俺はとにかく平謝りする。
「だって、翔琉は昔……女遊び、激しかったって聞いてたから――もしかして」
次第に俺の語尾が頼りなくなっていくのは、本当に罰が悪いと思っているからだ。
翔琉のその機嫌の悪さが、沈黙により余計重苦しく伝わってくる。
「ホントに、本当に、ほんとぉーに!ごめんなさい!!」
今回の件に関しては、確認しなかった自分に非があると深く反省した。
隣りの翔琉は大きな溜息をつく。
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