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「今年は用意していないんだ、プレゼント」
父さんの両手の動きが、止まった。ははは、と、いかにも大らかそうに笑って、
「そうか、忘れてしまったのか。葵生もベンキョウで忙しいんだろう。忘れてしまったのなら、仕方がないな」
僕はかぶりを振る。
「忘れたんじゃない。やめようって思ったんだ」
「なぜ、」
父さんは真剣な顔つきになる。紫の睛が、少し、怖いと思った。父さんを怖いと思ったのは、はじめてだ。
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