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「でも本当、変わっているわよね、悪魔なのに。しかもその王様なのに。私とあなたに、笑っちゃうくらい気を遣ってる。人間は悪魔よりも弱いんだって、思っているのね」
僕はむくれた。
「失礼だよ、それ。見くびってるだけだ」
だからただ物をくれうrだけの父子関係で良いんだって思うんだ。莫迦にしてる。
「あひるちゃん」
母さんは僕の唇を指でぎゅっと押した。
「違うわ、やさしいのよ、本当に。だっておかしいの。いつだったかまだあなたが小さい頃に、お父さんを見て大泣きしたことがあったの」
「僕が? 父さんを見て?」
「ええ。あのひとの角がね、怖いって云って。それまで何ともなく会っていたのに、急に怖いって泣いて、怯えて。夢で見たんですって。角の生えたおそろしいばけものに、自分が食べられるところを」
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