魔王の父と僕

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　絶対に奴を殺すと母さんは決心した。だけどもお腹には赤ん坊がいる。生まれてくるこの子に、犯罪者の子どもと云う重荷は負わせられない。そこで思いついた。そうだ、悪魔を呼びだして、自分の代わりにあの男を殺めてもらおう。

　どうして母がそのような考えに至ったのかは判らない。「あの時の私は」……のちに母は僕に語ったものだ……「全く冷静さを欠いていたわ」。そうだね、僕もそう思う。

　悪魔を召喚する為に必要な魔法陣やら呪文やらの情報は、インターネットで手に入れたそうだ。（「案外、簡単に見つかったわ」）儀式に使う道具や材料も、通販で揃えた。母は粛々と計画を実行していった。