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我が父君の口癖は、「お前に世界をやろう」だ。直接会ったこともないくせに、いや、直接会ったこともないからか、僕に好かれたくってたまらないらしい。それにしたって機嫌取りのプレゼントが世界だなんて豪勢すぎる。世界なんてもらっても、正直云って僕の手に余る。僕は慎ましく穏やかに平和に暮らしたい。だからいつだって答えは、「いいえ、結構です」だ。
しかもこの口癖、冗談ではないんだ。冗談ならまだ良い。だが僕の父にはそれを現実化させる力がある。だってあのひと、魔王だから。魔王と云うのは、悪魔の王様で、つまりものすごく強大な悪の力を持っている。多分ね。だって僕はまだ、その力をたくさんのプレゼントを受け取ることでしか見たことがないから。
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