カウントダウンの向こう側

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 *** 「いやはや、地球って惑星の人間達は酷いもんだね。結局、自分達が助かるために他の惑星の人間を犠牲にしようだなんてさ!」 「ていうか、それまでの会議が醜悪すぎて全く見てられなかったよ。なんで出来上がってもいない兵器の所有権から揉めてるわけ?」 「だね、しかもお金のことばっかり言ってる奴もいるしね。あれも嫌だこれも嫌だというばかりで、まともな意見も出さない奴もいるしね」 「隕石を軌道上に近づけると、その星の異星人達の本質が見えるようになると聞いたことがあったけれど……まさに本当だったというわけだ。こんなに自分勝手で救いようのない連中、生かしておく価値があると思うか?」 「ないね」 「ないなーい」 「しかし、あの惑星の綺麗な空気や土地、資源はなかなか貴重なものがありそうだ。要らないのは人類だけ。人類だけを滅ぼす方向でどうだろう」 「異議なーし」 「……満場一致みたいだね?じゃあ、隕石型無人宇宙船EV-star0703号、もう落としちゃおうか。人類を中心に一部の哺乳類だけ死ぬように、成分の配合を変えて少しバラバラにしておけば問題ないでしょ。ま、僕等宇宙の神の審判は覆らないということで。あと十年も、待ってあげる必要もないよね?」 「そうだねー」 「やっちゃえやっちゃえー!」  その日の夜。  各国リーダー達が集まる人工島に、星は容赦なく降りそそいだのだ。  自分達の命を奪った隕石の正体と本当の意味に、彼らはついぞ気づくことはなかったのである。
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