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後ろで、千奈が勢いよく手を上げるのを感じた。なんなら風圧さえ感じた。
私も控えめに手を上げる。
一応他に手を上げている人がいないか確認すると、あ、いた。
手をあげているのは、福田さん。
それが分かった瞬間、千奈の眉間に皺が寄った。
「・・・福田さんも、世界史やりたいの?」
千奈が、私の方に身を寄せて、いかにも『私たちふたりで世界史の係したいんだけど・・・』みたいな空気を醸し出す。
だいたいの子はここで空気を読んで、「あ、じゃあいいよ!」ってなるんだけどね。
それが女子の世界なんだけどね。
だけど、さすが、女とか男にとらわれない生き方をしてる福田さんは一味違った。
「まあね、僕も世界史やりたいかな。」
今ので福田さんの話し方は妙に人をイラッとさせるのと、空気を全く読めないことだけは十分伝わった。
はぁ。早く終わりたい、このくだらない係決め。めんどくさ。
「そっかー・・・」
こう言いつつ、千奈は私の方をチラリ。
福田さん、すごいな。こんな空気出されたら普通引くけどな。
「決まらないならジャンケンしろよー。」
笹尾が口を挟んできた。ジャンケンて。
「ジャンケン・・・」
案の定、千奈は少し嫌そうな顔。
ジャンケンの結果、福田さんとふたりでやることになった場合を考えてるんだろうね。
千奈は私に目配せした。
「・・・世界史、やめる?」
笹尾と接触する機会になるから、世界史が良かったけど、別に世界史にこだわってるわけじゃない。
私は苦笑いしてみせた。
「うん、別のや、」
「やっぱりやめます。」
は???
みんな一斉に福田さんの方を見た。
福田さんは事も無げに肩をすくめる。
「やっぱり日本史の方がいいかなーって。
僕、刀とか好きなんで。」
いや、別にいいけどだったら最初から日本史って言ってよ。てか刀って。なにそれ。
こうして、なんとか世界史の教科連絡係になったわけだけど、休憩時間、千奈がチラッと福田さんを見て言った。
「あたし、あの子嫌いかも~(笑)」
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