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***
「今のクラスの状況について、このアンケートに答えて欲しい。」
次の日。
世界史の時間、笹尾が私たちにアンケート用紙を配り始めた。
・・・このアンケート、いつ作ったのかな。
ただでさえ、授業準備とか丹念にやってて大変そうなのに。
笹尾はアンケートがみんなの手に渡ったのを確認すると、ゆっくりと全員を見回した。
「匿名のアンケートだから思ったこと、見たこと、感じたこと、言いたいこと、全部素直に書いてくれ。
今から10分、時間をあげるから。」
私はシャーペンを手に取って、そっと視線を落とした。
きっと、
笹尾があれこれ考えて作ったアンケートだけど、これが、功を奏するとは思えない。
***
「ねぇ、さっきのアンケート素直にあれこれ書く人いると思う??」
案の定、世界史が終わった後に、千奈がニヤッとしながら言ってきた。
千奈の質問に対する答えは、ノー。
「いないでしょ。」
私がこう言うと、千奈も「だよねぇ、」と同意してきた。
「でもまぁ、福田のこと放置しとくわけにもいかないし、アンケートとって、形だけでもイジメの対応してますってしときたいんだろうね~、」
・・・・・違う。
笹尾は、本気でどうにかしたいと思ってるのに。
笹尾の気持ちは、生徒には届かない。
「あっ、いたーーーーい!」
バシャッ!!!と嫌な水音がした。
振り返ると、ミキちゃんの取り巻きのサヤカちゃんが、福田さんの机にかけてあるバッグにペットボトルのジュースをぶっかけていて。
福田さんの机の周りがジュースで水浸しになる。
「!!?何するんだ!!!!」
福田さんが慌てて立ち上がると、サヤカちゃんが「あ゛?」と凄んだ。
「そっちがぶつかって来たんじゃん、むしろ謝ってほしいんですけどー?」
「違う!!!そっちがいきなりっ、」
「はいきもーい、オタクは喋らないでくださーーーい(笑)(笑)
つかこっち見んな、その髪型似合うとか思ってんの?」
福田さんの話なんて聞く気がなくて、ただ、一方的。
それを見てクスクス笑う人間と、みんなが笑うことで、得意げになるサヤカちゃん。
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