絶望的鉢合せ

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私は頭を掻きながらため息をついた。 無理。 福田さんと会話するのやっぱ無理。 「・・・・もういい。好きにすれば。」 私がこう言って福田さんに背を向けると、福田さんが、鼻で笑ったのが聞こえた。 「フッ、ほらね。」 何がほらね、よ!! ほんとムカつくな・・・!! ムカつくムカつく、頭の中それ一色で忘れ物をした教室まで歩いていって、そこで、ようやく少し冷静になれた。 なんで、自分の好きなことを我慢しないといけないのか。 福田さんが、言ってたこと。 机の中に忘れていたワークを手に取りながら、ふと、考える。 なんで我慢しないといけないのか? そんなの簡単、集団に受け入れてもらえないから。 じゃあ、必ず集団に馴染まないといけないのか?集団に馴染まないものを虐めてもいいのか? そういう、わけじゃない。 そういうわけじゃないけど、私たちは、そういうモノを排除したがる生き物で、 それが分かってるから、みんな表向きの自分を作って集団に溶け込んでいく。 『虐められる方にも問題がある』 この考え方、私は違うと思う。 嫌なら、無視すればいい。 関わらなければいい。 必要最低限の会話だけして、あとは放っておけばいい。 嫌いだから、積極的に危害を加えていい、とはならないでしょう。 「・・・・・、自分を貫くより、人に合わせとく方が楽なのに。」 ボソッと、思わず呟いた。 ・・・・・笹尾、これからどうするのかな。 福田さん、あんな状態だし、イジメ、止まらないと思う。 ため息をまたひとつついて、私は教室を出た。
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