絶望的鉢合せ

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見聞きしたことを逐一報告するなんて、従順な下僕みたい。 それが分かっているのに、今日も私は放課後、教材室で笹尾を待つ。 笹尾がいつも座ってる椅子に腰掛けて、机に伏せた。 下僕みたいだけど、伝えたい。教えたい。 だって、そうしたらもっと笹尾を独占できるかな、って。 私と、笹尾の、2人だけの共有だから。 「・・・おつかれ。」 笹尾が教材室に入ってきた。 私は、ゆっくりと顔をあげて、チラッと笹尾を一瞥する。 「おつかれさま。アンケートどうでした?」 「いきなりそこかよ、お前の思ってる通りだよ。」 笹尾はドアの鍵をかけると、頭を乱雑に掻きむしりながら教科書やバインダーをデスクに投げた。 ・・・・あらあら。 「私の思ってる通り、って、」 「そのままでいい。座ってろ。」 立ち上がって席を譲ろうとしたら、それを笹尾が止めた。 そして、崩れ落ちるように私の前で、笹尾が膝をついて。 「・・・・疲れた。」 なんと、座っている私の太ももにコテン、と伏せてきた。 えっ・・・・・・ 「ちょっと、」 「・・・すぐ退くから。」 いや、退かなくていい。 笹尾を見下ろして、凄まじい高揚感に全身が支配された。 笹尾が、疲れたって言って、まるで甘えてるみたいに私の太ももに伏せてる。 なにこれ、 ・・・・・・イイ。 「・・・疲れたの?」 頭を撫でながら、笹尾が言った言葉を復唱する。 笹尾は、私の太ももに擦り付けるようにして顔を埋めてきた。
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