絶望的鉢合せ

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「っ、かわいいね、笹尾。 ふふっ、」 欲情を隠せない。 熱に浮かされた顔で笹尾を見下ろして、私は笑う。 笹尾は唇で私の足をすっ…と撫でながら、悩ましげに眉をひそめた。 「・・・お前が俺の傍にいてくれるなら、全部、差し出す。 ・・・俺の全部を。」 ああ、あ、 今のセリフだけでイッちゃいそう。 最高、たまらない、愛おしい。 「いい子ね。抱きしめてあげる。」 こう言って両手を広げると、笹尾はゆっくりと顔を上げて、そして、這い寄るように、私に迫ってきた。 2人分の体重に、キャスター付きの椅子がキィ、と甲高い音で軋む。 「せんせ?」 「・・・何様だよ、抱きしめてあげるって」 「そんなこと言って、もう私の腰引き寄せてるくせに。 あっ・・・」 笹尾が、私の体を抱き上げた。そのまま、お姫様だっこ。 そして、いつものソファに連れていかれて、笹尾は私に縋るように抱きついた。 「白上っ・・・・ 白上っ、 んっ・・・・・・ しらか、みっ、 は、ぁっ・・・・・・」 私の名前を呼んで、私の熱、柔らかさ、匂い、全てを手繰り寄せるように興奮気味に私を何度も抱きしめ直す笹尾。 なにこれ、本当に最高。 もっと、もっとシテ。 「お前、私いなきゃ本当に死んじゃうんじゃない?」 笹尾の勢いを受け止めながら、私がせせら笑う。 笹尾は私の首筋に顔を埋めて、すぅっ、と強く息を吸った。 「や、もぉ、そんなに匂い嗅がないでったら、ぁ、 へんたいっ、ふふっ、」 「っ、死ぬ。 お前がいないと、死ぬ。 お前、は? 俺がいなくなったら、死ぬ?」 私・・・・・? 考えたことなかった。 笹尾がいなくなったら、なんて。
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