絶望的鉢合せ

20/31
前へ
/536ページ
次へ
ねぇ、どうしよう、 こいつは、私のお兄ちゃんを虐め殺した男なのに。 こいつは、私を陵辱した男なのに。 その男が、こんな風に必死に私を求めることに、興奮が抑えられない。 ゾクゾクと、背徳感が身体中を駆け巡って、性感帯という性感帯を刺激する。 最高、かわいい、こいつの全部を喰らい尽くしてやりたい 「ふーん。 ・・・いいよ?家に行ってあげる。」 私は、今度は優しく笹尾の股間を膝で上下に擦る。そして、舌なめずりをした。 「そのかわり、金曜日の夜まで私に触らないで。 私、ここにこないから。 ずーーーっと我慢して? 不安も、恐怖も、性欲も、ぜーーーんぶ。」 最高でしょ? こうすればきっと、金曜日の夜、もっと乱れたお前を見ることが出来る。 笹尾は目を見開いて、「いやだっ!!」と言いながら私のことを力任せに抱きしめた。 「なんでだよっ!! 毎日ここに来るって、俺っ、お前がいないとおかしくなるっつってんだろ!?」 「ギリギリまで我慢してよ。 そしたら、」 私は、自ら笹尾にキスをした。 「一晩中、私を好きなように抱いてもいいけど?」 獣みたいにぶっ壊れたお前に、抱かれたい。 笹尾は顔を歪めてくっ、と唇を噛んだ。 「お前、糞だな。」 「先生のおかげよ。私をこんな風にしたのは、先生。」 だから、責任取って、先生。 *** 笹尾は、私の条件を飲んだ。 もう、気分最高。だって、金曜日の夜が楽しみなんだもん。 機嫌よく靴箱で靴を履き替えて、私は棟を出た。 すると、ちょうど帰ろうとしている男子硬式テニス部の集団が前を横切って。 「あ、詩っ、」 天に、出くわした。 「・・・・天、」 私はぎこちなく天に手を振る。早く立ち去ってくれないかな。 そう思ったのも束の間、天がテニス部の友だちの方をクルッ振り返った。 「俺、詩と帰るわっ!じゃあな~!」 は?????
/536ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2384人が本棚に入れています
本棚に追加