絶望的鉢合せ

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・・・・!!!! 見てるやついたのか・・・! 誰よ、どこで見てたのよ、全部?全部聞いてたの・・・!? 「詩?」 天に名前を呼ばれて、ハッとする。 違う、今はそんなこと考えてる場合じゃない。天を納得させることを言わないといけない。 「・・・天、」 「俺、言わなかった?福田さんに関わるなって。」 はいはいはいはいはいはい、聞いた聞いた、何回も言わないでよ、わかってるから・・・・!! 「言われた、けどっ、」 「けど、じゃない!」 天が、苦しそうに声を荒らげた。そして、熱く私に言葉をぶつける。 「やめてって言ったじゃん!!福田さんに関わるなってば! 俺、嫌なんだよっ、詩が、詩が虐められたらいやだっ・・・・!!! 詩がもしそうならったら絶対俺が助けるけどっ、でも、それでも、俺が100パー上手く助けられるかなんて分からないっ、 詩が、詩の兄ちゃんみたいになるのが怖いんだって!!! 分かるじゃんっ、福田さんに関わったら面倒なことになるって詩だって分かるよね!?」 天の心配が、分からないわけではない。 福田さんに関わる危険性が分からないわけでもない。 でも、笹尾が、何とかしようともがいていて。 私自身も、モヤモヤしていて。 だから、声をかけた。 「・・・・別に、福田さんに優しい言葉をかけたわけじゃない。」 天の目は見ずに、私はボソボソと言う。 「ただ、あーゆー気持ち悪い絵をなんで学校で描くのって訊いただけ。」 「キョーミ持たなくていいじゃん、詩まで同類とか思われたらどうするの?」 天が、吐き捨てるように言う。 同類、か。
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