絶望的鉢合せ

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こんな訊き方、ずるい? でも、すごく効果があるの、私知ってるの。 案の定、天が切なそうに眉を潜めた。 「んなわけないじゃんっ、なんでそんなこと、」 「・・・・だって、」 私は、視線を落としてみせた。 「天、笹尾のこと言うっていうし・・・ 私が勝手なことするから、天、もう私のこと呆れちゃったのかな、って・・・・・」 「そんなわけない!!!」 天が、ぎゅっと力強く私を抱いた。 ・・・・かかった。 「んなわけないじゃん! 俺が詩のこと嫌いになるなんて絶対にない!! 詩っ、ごめん、不安にさせた・・・? なんか俺、ダメだった・・・・?」 不安そうな、天の声。 私は、天の胸に顔を埋めた。 「ううんっ・・・・ ごめんね、天、心配かけて。 でも私、ちゃんと考えてやってるから。 だから、笹尾のことみんなには言わないで。またみんなに、白上の妹って騒がれたくないの。 私の過去は、天だけが知ってればいい。」 きゅ、と天の制服を握る。 天が、息を飲むのが分かった。 「・・・・詩。」 「ダメなら、もう、いいよ。」 こう言って、私が天から離れようとした瞬間。 「詩っ、」 それを阻止するかのように天が私を抱きしめた。 「分かった、から、詩の言いたいこと、分かったから・・・!! でも、お願い、これ以上福田さんに関わらないで。あと、笹尾にも。 俺は、詩さえ無事なら、それでいいっ・・・」 天に頭を撫でられながら、私はコクリと頷く。 天、喋らないでね。 笹尾のこと。
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