絶望的鉢合せ

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先のことなんて、分からない。 ・・・・・そうね。 私は、ふふふっと小さく笑った。 「私も、先生がこんなに甘えん坊だなんて知らなかったけど?」 「るせぇ、」 はぁ、と甘く切ない吐息を漏らして、笹尾は私の耳たぶを甘噛みする。 「っ、可愛い・・・・・っ、 可愛いよ、白上っ・・・・、白上、」 満たされていく、心と体。 笹尾に求められて、可愛いと言われ、心が喜びに震える。 最高。 最高よ、 最高なの、 「笹尾先生、・・・・・・き、」 その言葉は、声がかすれて上手く言えなかった。 *** 「送る。」 2人で一緒にシャワーを浴びて、お互いの体を隅々まで丁寧に洗って、朝食を食べた。 帰る準備をしてたら笹尾がこんなこと言ってきたから、思わず笑っちゃった。 「私を連れて歩いてるとこ見られると不味いんじゃないの?」 「・・・家の前までだよ、そっから先は1人で帰れ。」 フイッとそっぽ向く笹尾が、愛おしい。私はバッグを持って小さく笑った。 「じゃあ、お言葉に甘えて。」 とはいえ、誰に見られてるか分からないんだから、気をつけないといけない。 私から笹尾を奪うなんて、許さない。 笹尾の全ては、私のモノ。 笹尾のカラダも、命も、全部。
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