匂ひ

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*** 最悪な土日だった。 まったく気が休まらなかった。 笹尾からLINEが来てないか何度も確認して、自分のことがネットに書かれてるじゃないかと気が気じゃなくて、何度も自分の名前でエゴサした。 どうして、こんなことになったの。 意味わかんない、だって別れたんでしょ? だった今更首突っ込んでくるなよ、性悪女、結婚結婚ってしつこいの気づけよ 額の傷をおばあちゃんが物凄く心配してきて、「どうしたの?大丈夫?」って何度も訊いてきたけど、その相手をしてる余裕さえなくて。 冷たく、「うんうん大丈夫だから」って、顔も見ずに突き放してしまった。 結局、笹尾から連絡はなし。 チクチクと痛む胃を押さえて学校に行った。 吐きそう。 まじで吐きそう。 学校に行ったら、みんなが私を見てヒソヒソ言ってくるんじゃないだろうか。 私の知らないところで、私の人生が終わってるんじゃないだろうか。 そんなことばっかり考えてしまうの。 「詩ちゃんおはよう♪ あれ、なんか疲れてる?」 千奈が、いつもどおり挨拶してきた。 その態度に、少しだけホッとする。 まだ、大丈夫ってことでいいのよね・・・? 流石に友だちにいい加減な態度は取れなくて、私は精一杯明るく振舞った。 「ううん、大丈夫! 昨日中学の時の友だちと夜中zoomしてたの。そしたら寝るの遅くなっちゃって、」 「あー、わかる、どんどん話すこと出てきて終わらないよね! てか今日の体育やだぁ~~、」 おばあちゃんにはいい加減な態度を取ったくせに。 *** 「今週末から始まる考査だけど、考査の期間は売店が開かないから、そのつもりで。 あと・・・・」 朝の、HR。 笹尾はいつもと変わらない様子でみんなに諸連絡を伝えていた。 私は、いても立ってもいられない。 ねぇ、どうだったの?清香さんと何か話したの?どうなったの? 先生、先生っ、 先生・・・・・・ こんなふうに、自分のことばっかり考えてたから、すっかり、頭から抜け落ちていた。 このクラスには、イジメがあることを。
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