匂ひ

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なんかもう、ここで嫌いになったって突き放せば、楽になれるのかな。 天に、付きまとわれずに済むのかな。 ・・・・でもそうすると、天が笹尾のことをばらすかもしれない。 ・・・それは、ダメ。 笹尾を、殺すのは私。 笹尾を好きにしていいのは、私。 笹尾は、私のもの。 天にも、清香さんにも、好きにさせない。 生かすも殺すも、私次第なんだから、他人が手を出すな。 「詩、なんでもするから、お願い、なんか言ってよっ・・・!! 頼むから、なんでもするっ、ごめんって、」 私が別のことを考えて黙っている間に、天の不安が最高潮に達していた。 天を無視したんじゃなくて、他のこと考えてただけなのに。 そうとは知らず、苦しそうに、辛そうに、泣きそうな声で懇願する天。 ・・・なんでもする、ね。 じゃあ、やってみせてよ。 どうせできないくせに。 「なんでもするの?」 私が、やっと口を開く。 それだけで、天はパァッと顔を輝かせて、ひどく安堵した様子だった。 「する、詩が機嫌直してくれるなら、するっ、」 「じゃあ、」 私は、ゆっくりと天を見上げた。 「ここでオナってよ。 私のためなら、なんでもするんでしょ? じゃあ今ここで、扱いて、イッてみせて。」 天を黙らせたい、それくらいにしか思ってなかった。 無理難題を突きつけたつもりだった。狼狽える天を見て、勝った気になれると思った。 それなのに、天は。 少し目を丸くしたかと思うと、ゆったりと笑った。 「いーよ。」 !!!!!!????? ちょっ、 「まっ、 天!!ストップ!!! 待って、いいから!!!冗談だってば!!馬鹿じゃないの!!?」 慌てて天の手首を握って、ソコに手を伸ばすのを止めた。 えっ、こいつ、は!?どういうこと!? 馬鹿じゃないの、頭どうかしてる、狂ってんの!!!?? 私に止められた天は虚ろな表情で笑った。 「馬鹿じゃないけど。 俺、詩が見たいなら、抜いてるとこ、いくらでも見せる。」 いや、こいつどう考えても頭おかしいだろ。
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