献花台

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「あれ?」 笹尾は、急にまじまじと私の顔を見つめてきた。 なに、なによ、やめてこっち見んな・・・!! 笹尾は首を傾げると、目を丸くさせて口を開いた。 「有川さん、誰かに似てるって言われない?」 ゾクリ、と、背筋が寒くなった。 ばれ、た? 笹尾は、私の顔で本人も気づかないうちにお兄ちゃんを連想してる? どうしよう、いや、落ち着け、落ち着け、大丈夫だからっ、 「・・・や、特に言われたことないです、」 私が小声でこういうと、それでも笹尾はどうも納得がいかないって顔をしていて。 自分が似ていると感じたものを、無理やり記憶から呼び起こそうとしている表情で。 くそっ、くそっ・・・・・!!! 「芸能人の中場あや実じゃね??」 相本くんが、くるっと振り返って、こう言った。 へ、と思わず私は間抜けな顔になってしまう。 な、中場あや実?そんなの1度だって言われたことない。 笹尾も「え~~~??」と首を傾げている。 「中場あや実?? んーーー?なんか違うかな~~。 ま、いいや!有川さんね、おっけ。 英語もいいけど、先生としては是非とも世界史も頑張ってほしいな、世界史!」 クスッと、悪戯っぽく笑った笹尾。 私は愛想笑いだけ返した。 バレるのは、いやだ。 でもこうして、「初めてあった女の子」として笹尾に馴れ馴れしい笑顔を向けられると、身の毛がよだつ。 キモい、キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモい、 こっち見て笑うな死ねきめぇんだよ
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