献花台

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自己紹介が終わると、そのまま委員会と係決めが始まった。 「絶対絶対絶対っ、世界史よ!」 後ろから千奈が念押しをしてくる。何回も言われなくても分かってるって。 まずは委員会。 総務委員だけ笹尾が指名してたけど、あとの委員会は立候補で決定。 天が体育祭運営委員に手を挙げたら、そのあと続々と女の子が手をあげたのはウケた。 まだ天がどんな人間かもわからないのに、顔面だけでこんなに好意的に思われるなんて、ほんと、見た目がいい人は得ね。 ・・・・・でもま、こうなるのはしょうがないこと。 男はいろんな女に種をばらまけるけど、女はそうはいかない。 女が体に宿せるのはたった1人の男の種だけ。 それなら、より優秀な種を、と望むのは当然の話。 その優秀さをどこで推し量るのかは、小学生の頃なら足の速さだったり、顔の良さだったり。 中学高校あたりからは美醜の価値観がよりはっきりしてくるから、イケメンの人気は更に高くなるし、頭のいい人、運動神経のいい人も好まれやすい。 大学、社会人になってくると、人間顔だけじゃやっていけないって気づき始めて、学歴や年収、勤め先、その他スペックで男を選ぶ。 ドラマで子供の頃の方が純粋に恋愛できた、なんてセリフを聞いたりするけど、女の恋愛は結局何も変わってない。 小学生だろうが、社会人だろうが、自分がより優秀だと思う男に惹かれてるだけ。 “優秀”だと判断する価値観が次第に変化していってるだけで、本質は何も変わらない。 係がおおかた決まると、次は係決めが始まった。 「はい、じゃあ現国の係になりたい人。」 さっき指名されたばかりの総務委員が、少し緊張した面持ちでクラスを見回す。 その間、笹尾は教室を巡回していた。こっちくんなハゲ。 笹尾が近づくだけで体が強ばる。 「じゃあ、次、世界史やりたい人。」 総務委員が、コン、とチョークを黒板に当てた。
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