あの子はだあれ?

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あの子はだあれ?

小学生の頃、犬を飼っていました。 夕方の散歩に行くのは、大体私の役目。 元々、私の我儘で迎え入れた犬だったので、それが当たり前ではあったのですが。 当時住んでいた家の近所には用水路を囲むように整備された森があり、その用水路には鯉が数多く放流されていたので、散歩がてらパンくずなどをあげたりする人がいて、比較的多くの人が行き来をしていたため、日中でも薄暗い場所ではありましたが、小学生の私でもさほど恐怖を感じることなく散歩をすることが出来ました。 ある日の夕暮れ、いつものように愛犬を連れ散歩に出た私は、丁度 森の入り口付近にさしかかった所で犬連れで用水路を眺めている人がいることに気が付きました。 恥ずかしながら犬のしつけに相当甘かった当時、愛犬は他の犬を見るとすぐに飛びついてしまい 結果 喧嘩になるというのが常だったため、私は用水路を眺めるその先客の後ろを通ることにひどく緊張していました。 ところが、愛犬は何事もなかったように、犬を連れたその人の後ろを通り過ぎ、前へ前へと先を急ぎます。 いつもならあり得ない行動に、私は思わず後ろを振り返りました。 「――私?!」 そこにいたのは、昨日の服装の自分自身と愛犬の姿だったのです。 確かに私は昨日そこで、同じように用水路の鯉を眺めていたのですが―― 私は恐ろしさのあまり引き返すこともできず、愛犬と共に猛ダッシュで、その森の出口を目指したのは言うまでもありません。 それがドッペルゲンガーと言われるものだったのかは未だに謎のままです。 ※実話です。
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