カーテンの向こう側

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カーテンの向こう側

 私は小学生の時、保健委員をしていました。  その日は委員会のある日だったので、会場となる教室に1番のりで入っていたのです。  開始時間まではまだある。  私はカーテンに包まるようにしてボーっと窓から外を眺めていました。  すると、いきなり誰かに肩を掴まれたグイッと引っ張られたのです。 「何?」  当時の年頃だと、いたずらする男子が結構いたりして、どうせその類なんだろうなと思いつつパッとカーテンから出て振り返りました。  しかし、そこには誰もいなかったのです。  教室の出入り口は開いていて、廊下の向こう側を歩く児童の姿も見えます。  そこで私はあることに気が付きました。  足音が――しなかった。  近づいて来る時なら分かるのです。足音を忍ばせてくるのですから。  だったら、逃げるときは?  あんなにも静かに、しかもあれほど早く逃げられるのものなのか……  私の肩を掴んだのが何者であったのかは、今でも謎のままです。  ※実話です。
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