深夜の来訪者

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深夜の来訪者

私は夜の暗闇が苦手です。 何故なら…… 私がまだ小学生の頃、父と母の間に挟まれ川の字になって寝ていました。 3Kの都営住宅に両親と姉妹4人の6人家族。 末娘である私に部屋はなく、随分遅くまで母と一緒の布団で寝ていたことは、今では良い思い出です。 そんなある日のこと。 いつもは常夜灯をつけて寝ていたのですが、その日に限り、父が酔った勢いで常夜灯も消してしまい、真っ暗な中で寝ていました。 深夜、何時ごろでしょうか。 私は急に息苦しくなって目を覚ましました。 ふと、枕もとを見ると…… 人の形をした真っ黒い影が、カーテンの向こう側にゆらゆらと揺らめいて見えたのです。 狭い都営住宅。頭のすぐ上が掃き出し窓になっていたので、もしかしたら窓の外に人が立っているのではないか恐怖に襲われました。 私は慌てて布団をかぶり、とにかく何事もないことを祈り続けたのです。 でも――おかしいと思いませんか? 深夜、暗闇の中でが見えるなんて。 そして、その黒い影はシルクハットを被っているように見えました。 そう気づいた瞬間、一気に吐き気が襲ってきたのを今でも鮮明に覚えています。 だから私は夜の暗闇が苦手なのです。 ※実話です。
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