レストランの彼

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レストランの彼

二つ上の姉と住むマンションの向かいにイタリアンレストランができた。 真っ白な外観は、緑の木々に彩られていて明るい。お洒落な雰囲気に誘われ、早速姉と食べに行くことにした。 「いらっしゃいませ」 光が心地よく注がれている店内は洗練され開放感があった。すぐに窓側の席に通される。木々が風で優しくなびいていた。 ゆっくり店内を眺めていた姉も、素敵だねと笑った。 「雰囲気いいのに、値段はお手頃なんだね」とメニューを眺めながら姉が呟いた。 「本当だね。もっとお高いかと思った」 「ワインでも飲んじゃおうかな」 「昼間っから?」 「えー、休みだし。いーでしょ、いーでしょ。ね、お願い」 「はいはい、どうぞ好きにして下さい」 「はーい。食べたいのは決まった?」 「うん。ウニのクリームパスタ」 「私もそれ頼もうと思った。でも、せっかくだから他のものも食べたいよね。じゃあ……あ、私、ピザにする。マルガリータ」 「お酒きちゃうじゃん。曇りなき眼で言うのやめて。マルゲリータね。でも、私もピザならそれ食べたいと思ってた」と言うと、姉は微笑んだ。
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