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最近、キレイになった?
次の日曜日の朝、ウォーキングに行こうと玄関に座ってスニーカーを履いていると、後ろから姉が
「おはよう。出かけるの?」
「おはよう。うん。ウォーキングしてくる」と振り返った。
私の顔を見ると「あれ? 最近、綺麗になった?」と言った。
私は頬に軽く触れる。
そういえば、気になっていたニキビはいつの間にか消えていた。姉と比べることもしなくなった気がする。むしろ、そんなことで悩んでいたことを忘れていた。
そして、ひとつ気づく。
自分を嫌いなまま頑張ったって何の意味もないし、その思いは本心ではなく手放せるものだったのだと。その先に本当の美しさがあるんだ。
「やっぱり、恋に効く化粧水のお陰だね」
「なになに店長さんと何かあったの?」と背中にくっついて体重を乗せてくるので、前のめりになる。重いってばと笑いながら返した。
「うりうり、白状しなさい」
「何もないよ」
「えー、本当に? 何か怪しいぞ。今から実はデートかデートか。姉は気になるんですけど」
「違います。ふふ。でも、そうだね。これから何かあるかもしれないよね」
気づいたらそう答えていたのは、胸が弾んでいるせいだ。
姉は「……うん。私もそんな気がするよ。いってらっしゃい」と優しい声で見送った。
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