お父さん、今日はサボります。

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「ふんふん」 「アイツのせいで、私は暗黒の青春時代を送ったんです」  勢いのついた私は、山田さんに過去を淡々と語っていた。  だから私は高校卒業と同時にダイエットして、化粧も覚えて、とにかく変わった。  きれいになったね、と周りから言われるようになり、暗黒の青春時代なんて忘れていたのだ。  だけど25歳の春。  とあるSNSのオフ会に参加をしたら、いたのだ。  啓哉が。  私の青春を台無しにした男が、オフ会にいて、しかも私のことなんてまるで覚えてない様子。  本名を告げても、無反応だった。  そして、挙句の果てにオフ会の後で、私に告白してきたのだ。  だから、その告白を利用してやろうと思った。  啓哉は結婚願望が強いと聞いて、それじゃあ結婚前提に付き合ったフリして、それで結婚式当日に逃げてやろうって。  そうしたら、アイツにも、深い心の傷ができるだろう。  いい気味だと思って心がスカッとするんだろうなって。 「あのさ、おじさん思うんだけどさ」  山田さんが突然、口を開いた。 「なんですか」 「啓哉君って、紗智ちゃんのこと好きだよね」
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