5人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「そりゃあ、私に今、復讐のために騙されているとは知りませんからね」
「そうじゃなくて。小学校の時からずっと、好きだったんだよ」
私が黙りこむと、山田さんは続ける。
「ほら、イジメることでしか愛情表現できないガキっているだろ。それだよ」
「いくら好きだったとしても、その後、私は別の男子にもイジメられて、暗黒の中学時代に進んだんですよ」
「中学でイジメてきたのは啓哉君じゃないんだろ?」
「違いますけど、アイツが原因を作ったもの同然です」
「高校も啓哉君と一緒だったの?」
「まさか! 高校は女子校でした。そこでもイジメられましたが」
「それも啓哉君が関わってるのか?」
私が黙りこむと、山田さんは呆れたように笑う。
「それはもうさ、啓哉君のせいじゃなくね?」
山田さんの言葉に、私はムッとしてこう言い返す。
「小学校でアイツにいじめられたせいで、私は自信を失って、それで高校でもぼっちだったんです」
「うーーーーーん」
山田さんは唸るようにそう言ってから、細く長いため息をついた。
それから、雲一つない青い空を見上げて「じゃあさ」と切り出す。
最初のコメントを投稿しよう!