40人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
『10010111111』
マサルの妻は数学者をしている。
ある日、妻はマサルの顔を見てこう言った。
「10010111111」
それ以来、妻は時々、マサルの顔を見るとその言葉、
「10010111111」を口にするようになった。
マサルが妻の食器を落として割ってしまった時。
部屋の掃除をさぼった時。
出かけるときに電気をつけっぱなしにしていた時。
妻が「それ」を口にするのは、マサルに不満を抱いている時ではないかと思えた。
そんなある日、マサルは妻と大喧嘩をした。
原因はマサルが妻の愛読書だった、
「記数法のしくみ」という本を間違って捨ててしまったからだ。
喧嘩の翌日、妻からマサルにメールが届いた。
メールの本文にはあの言葉が書いてあった。
「100 10 111 11 1」
そこでマサルは、その数字の間に、不規則に間隔が空いていることに気づいた。
そして妻の真意にも気づき、背筋が凍った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
......意味は分かったかな?
このお話のヒントは、妻の愛読書の「記数法のしくみ」にあるんだ。
記数法っていうのは数の数え方のことで、
わたしたちが普段使っているのは十進法って呼ばれる、0から9の数字を使って数える数え方。
それともう一つ、二進法っていう、
1と0だけを使って数える数え方があるの。
ここで、妻が言っていた「100 10 111 11 1」を、二進法から十進法に直してみたらどうなるか見てみよう!
100→4
10→2
111→7
11→3
1→1
つまり「100 10 111 11 1」は「42731」。
「42731」→「死になさい」
っていうメッセージだったの。
ずっと死になさいなんて言われていたって気づいたら、マサルの背筋が凍っちゃうのも無理ないね。
直接言うわけにいかないから気づかれないように言ったのかもしれないけど、
気づいちゃったらよけいに怖いよ。
最初のコメントを投稿しよう!