40人が本棚に入れています
本棚に追加
『海で見たもの』
小学生のヨシキの一家は、夏休みを利用して海へ旅行に来ていた。
海は水色に澄んで、イルカがたくさん泳いでいた。
海を満喫し、夕方になってヨシキ達が海辺で休憩していると、
妹のユリがスケッチブックと鉛筆を手に、日が沈む地平線を眺めて絵を描いていた。
ヨシキがスケッチブックを覗き込むと、そこに描かれていたのは、
夕焼けの海で、イルカがジャンプしている絵だった。
「今日見たものを、形に残しておきたいから」
ユリは言った。
ヨシキは、「すっごく上手だね!」とユリの絵を褒めたが、
それを聞いたユリは、なぜか少し暗い表情をしていた。
一家が旅行から帰ってくると、とあるニュースが話題になっていた。
ヨシキ達が行ったあの海で、少女の惨殺死体が見つかったというのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
......意味は分かったかな?
ユリが絵に残しておきたかったものは、「少女の惨殺死体」だったの。
それはユリの絵を、左に90度回転させてみたら分かるよ。
ね?見えたでしょ?
白目を剥いて頭から血を流す、
顔が半分だけになったツインテールの女の子が。
最初のコメントを投稿しよう!