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『耳の聞こえない少女』
シオリが病院のベッドで目を覚ますと、耳が聞こえなくなっていた。
そうなった理由は全く思い出せなかった。お医者さんには、「心の問題からくるもの」と言われた。
そのままシオリは、聴力を取り戻す治療を受けるため入院することになった。
治療のために入院している間、シオリのお父さんとお母さん、弟が足しげくお見舞いに来てくれ、笑顔で彼女に話しかけてくれた。
おかげでシオリは不安に思うことも少なく、前向きに治療に専念することができた。
その甲斐あって、ついにシオリの聴力は回復し、元通り耳が聞こえるようになった。
退院して家に帰ってきたシオリに、家族は笑顔で声をかける。
その瞬間、シオリの耳は再び聞こえなくなった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
......意味は分かったかな?
シオリの耳が再び聞こえなくなってしまったのは、
家族がシオリに言っていたことが「聞こえてしまった」から。
家族はずっと笑顔で、シオリに悪口を言っていたの。
それも、ショックで耳がきこえなくなるような、ひどい悪口をね。
最初に病院で目覚めた時も、同じことがあった後だったんだろうね。
次に目を覚ます頃には、シオリはまた、すべてを忘れているのかな。
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