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伊代ちゃんはほっぺを膨らませる。
「なんで? 亮ちゃんはほんとうのパパじゃないでしょ? それならだいじょうぶでしょ? わたし、しんけんよ?」
真剣、かぁ。それなら俺もちゃんと返事してあげないといけないな。
「伊代ちゃん、ごめん。それでもダメなんだ。俺は、知花と結婚するって約束したから。だから、伊代ちゃんのことをお嫁さんにすることはできないんだ」
伊代ちゃんは目をうるうるとさせて、今にも泣き出してしまいそう。すごく、心が痛んだ。
「それは、知花ちゃんよりわたしとはやく出会っていたとしてもかわらないの?」
この子は……ちょっとドラマの見過ぎかな、と思ったけど、至って真面目のようだ。
「うん。俺はきっと、生まれ変わっても知花にまた恋するだろうし、知花と結婚したいと思うんだ。俺がこの世で一番好きなのは知花なんだ」
「そっかあ……しあわせに、なるのよ?」
俺はちょっと感動した。伊代ちゃんをぎゅっと抱きしめて、「ありがとう」と言った。
「……ねぇ、あなたたちさっきから何をしているの?」
知花がふわふわたまごのオムライスを皿に乗せて台所から出てきた。伊代ちゃんはすっと俺から離れると、知花ちゃんに近づく。
「さ、ごはん、いただきましょ」
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