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ぷろろーぐ
ぴちゃぴちゃとまるで子犬のように柔らかで温かな舌が私の親指を舐めまわしている。
「やだ、だめ、汚いよぅ」
「汚くなんてないわよ。さっき綺麗に洗ってあげたじゃない」
「でも、でも」
どんなに言葉を尽くされても、そこは決して人の口に含まれていい個所ではないという背徳感で落ち着かない。滑った艶めかしい感触にからだが震えて、逃げようと勝手に足がよじれるが、しっかりと足首を掴んだ男の手は私の抵抗を許さない。
「じっとしないと、この可愛い足首が折れちゃうわよ」
「やだぁ…」
本当に折られるじゃないかというような力強さで握り込まれて、恐怖に涙が滲む。私の右足の親指をぱっくりと咥えこんで楽しそうに笑っているその人は、私の涙に気が付いて嬉しそうに目を細めた。
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