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なまぬるいお湯に足が沈められる。この前と違うのは一緒に珀人さんの足がお湯中で蠢いている事だ。
「やああんっ」
水の中で珀人さんの指が蠢いて、私の足先をなぶるように撫でたり引っ掻いたりを繰り返す。どこから出したのか、石けんが出てきて、塗り付けられた泡で指の間や爪の先まで洗われてしまった。歩くしか使い様がないと思っていた皮膚をこんなに人に触られるなんて、もう処理が追いつかない。
ひぃひぃと情けない声を上げる事しかできない私は、つるつるになった足をバスタオルで拭かれながら、ぐったりと浅い呼吸を繰り返した。
「綺麗になったわよ。じゃあ、もういいわよね」
「あ、まってぇ、ええっ」
駄目だと言う間もなく、またパクリとつま先を食べられる。柔らかい舌が指を一本一本舐めまわして指の間も丁寧に舐めあげていく。指の付け根の堅い部分から、窪みに沿って土踏まずにキスをされると、ふえん、と甘えたような声が口から勝手に漏れ出た。
その間にも珀人さんの掌がもう片方の足をも隙間なく撫でまわしていく。太股の裏側を爪先ですーっと撫でられると、腰が浮いてしまう。
「だ、めぇ、もう」
「逃げちゃ駄目。痛いのは嫌でしょう?」
逃げたら折る、と恐ろしい事を良いながら珀人さんは私の足首を強く掴む。言葉づかいや舌先は優しくて柔らかいのに、その力強さが、男の人なんだと嫌でも伝えてくるから、私はどうしていいのかわからずになすがままだ。
「なんでぇ、珀人さん、オネェさんなのに」
途切れ途切れに疑問を口にすれば、くるぶしを舐めまわしていた珀人さんがくすくす笑った。
「別にホンモノってわけじゃないの。口調は好きだから使ってるだけよ。職業オネェってやつね」
「うそぉ…」
「うそじゃないわよぉ。ほら、だってアタシのここ、ルリちゃんが可愛すぎてこんなになってる」
私の足を掴んで珀人さんは自分の股間部分を足裏に押し付けてくる。
「ヒエェェッ」
素足に触れるズボンの奥に硬くて熱いぴくぴくと脈打つ何かが存在を強く主張していて、私の思考は混乱の渦だ。
「そのまま触っててね」
「え?あ、あっ!」
右足で股間を押さえる体勢を取らされたままの私に、珀人さんは圧し掛かってきた。ぐ、と体が近づくと、足の裏に伝わってくる存在の強さが強調されて恥ずかしい。
「ルリちゃん」
近づいてきた綺麗な顔が視界を埋めて唇を奪ってくる。何度目か分からないキスは甘くて激しくて、私はもうその舌使いに翻弄されっぱなした。
「んっっんむ、ちゅぅ」
唾液を絡められて呼吸の苦しさで暴れれば、足裏の珀人さんの熱が更に大きく硬くなっていくのが伝わってくる。痛くないのだろうか、と不安から足を引こうとすれば、許さないとでも言いたげに足首を掴まれて更に強く押し付けられる。
もう抵抗なんてできないと学んだ私が力を抜いて身を任せれば、珀人さんが嬉しそうに笑った気がした。
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