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かわいいこのこ~珀人視点~
助手席に座ったルリちゃんは可哀相なくらい小さくなって、ぴっちりと可愛い膝と膝をくっつけて座っている。まだほんのり赤い耳と頬をした横顔は神妙な表情で、じっと視線を下げていた。
――我ながら、何をしているのかしら。
出会ってまだ2回目だ。なのに何故だか彼女にこんなに本能をくすぐられている。これが運命というやつなのだろう。
丈の短いシャツワンピはさっきも思ったが、座ると魅力的な太股がはっきり見える。一本筋に閉じられたその間に指を滑り込ませて感触を楽しみたいなんて欲望が溢れて止まらない。二人きりのとき以外は足が見える服は着せないようにしないと、なんて未来の事まで考えてしまう始末だ。
「ルリちゃん、大丈夫」
「は、はい」
びくりと子猫みたいに跳ねたルリちゃんが潤んだ瞳で私を見た。あ、可愛い。と胸が高鳴る。こんなに可愛い子が今の今まで純白のままだったなんて幸運すぎる。
指で味わった狭さを早く自分の熱で味わいたくてたまらない。どこに触れても可愛い声しか出てこない彼女をふわふわにして溶かしてしまいたい。
柔らかくて滑らな足裏で鎮めてもらったはずの欲望がうずうずと腰の奥で煮え滾っていく。
はやる気持ちを押さえこみ、安全運転でマンションへと帰り着いた。駐車場に車を停めながら、そういえば他人を家に招くのは初めてだと気が付く。あまりプライベートゾーンに他人がいるのは好きじゃない。でもルリちゃんは別だ。今すぐ部屋に連れ込んで、二度と外には出したくない、なんて考えている。
駐車場の広さにおろおろしているルリちゃんの手を引いて、エントランスに連れて行く。エレベーターの呼び出しボタンを押しながら、肩を抱いて身体を引き寄せた。
「あの、ここ、珀人さんの、おうちですか」
「そうよ。元々は親の持ち物なんだけどね」
「ひえぇぇ」
目を白黒させて周りをきょろきょろするルリちゃんの顔は新鮮で可愛い。ここがそれなりに高級なマンションだと感じとっても媚や甘えるしぐさなどなく、純粋な驚きだけに染まっている。ああ、本当に可愛い子。
短い電子音がしてエレベーターの扉が開く。早くと急く気持ちを押さえつけて、ルリちゃんの肩を抱いたままその狭い小部屋にすべるように入り込み、自分の部屋がある階のボタンを押した。いつもなら気にならないのに、妙にゆっくりと扉が閉まるのがもどかしい。
監視カメラなんてなければ、今すぐむしゃぶりつきたいなぁと不埒な事を考えながら、ルリちゃんの肩を抱いていた手を滑らせて腰まで下ろす。
「あ」
ぴくり、とルリちゃんの身体が震える。それは怯えの震えではなく、触れられた事で身体がさっきの事を思い出したせいだとすぐに分かった。耳たぶがほんのり赤く染まっている。髪の毛にそっと頬を当てて身体を引き寄せた。腕の中にすっぽり収まる体温が心地いい。
回数表示がのろのろ変わるのがもどかしい。到着を告げるベルの音がして扉がゆっくり開くのすら待っていられない気分だったが、ここでがっついて逃げられるのはごめんなので、あくまでスマートな態度でしっかりとルリちゃんの身体を抱き寄せたまま、歩き出す。
「ここよ」
努めて優しい声で自宅を紹介すると、鍵を差し込み玄関扉を開ける。
鼻をくすぐる自宅の香りに、自分の縄張りに戻ってきたのだという安心感と、ああ、これで好きにできるという本能が顔をもたげた。
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