胎動

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「頭取!?俺は母さんと話を…」 「いいから…俺の話を訊いてくれ!司君」 頭取は俺を大会議室へと招き入れた。 ドーナツ型の大きな重厚感のあるテーブル。 頭取の椅子は特注品で、他の椅子よりも目立っていた。 「俺の後継としてこの椅子に座るのは君か徹也か…楽しみにしているんだ・・・」 「俺は…徹也にその椅子は譲ります」 「…徹也は俺や副頭取ではなく、先に君に井沼副支店長の不正融資を話した。 よって、近々処分が下る」 「徹也は何も関係ないでしょ??徹也、処分するのはおかしいですよ!!」 「…おかしいか?」 「はい・・・徹也は俺の為に…」 「・・・君にはあって徹也にはないモノを司君は持っている…その逆に君にはなくて、徹也が持っているモノもある。二人は持ちつ持たれつの関係だと俺は見ている。だから、俺も君に『帝和』を辞めて欲しくない。将来的には二人でこの『帝和』を守って貰いたいと思っている。互いに争うではなく、協力して欲しいと考えているんだ…」 「頭取!?」 「…君も本店に戻り、キャリアを積むんだ…司君」 「しかし・・・」 「・・・赤ちゃんが生まれるのに…妻子を路頭に迷わせてはいけないぞ」 美亜と産まれて来る子供のコトを言われると弱い。純也さんは痛いと所を容赦なく突いて来た。
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