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~司side~
俺のせいで、徹也は減給処分を受けた。
葛飾支店は隣町の支店を統合され、井沼副支店長はグループ証券会社『ナショナル証券』へ出向。俺のキャリアの為、全てを不問に伏して、井沼元副支店長は出世街道から外れるコトはなかった。
俺は本店の営業企画部に異動。
徹也の所属する法人営業部の同じフロアとなり、嫌でも毎日顔を合わせるコトになる。
「外回りか?徹也」
「まぁな」
今日も廊下で顔を合わせた。
「営業企画の仕事には慣れたか?」
「あぁ」
「美亜さんも臨月だな…」
「あぁ」
臨月を迎え、いつ生まれてもおかしくはない。
俺よりも父さんと母さんの方が初孫とあって、まだかまだかと楽しみにしていた。
「お前は結婚しないのか?」
「・・・父さんからは沢山見合い話持って来られているが…俺はまだ・・・いい。美亜さんを誰かに略奪された心の傷は癒えてないからな」
「はぁ?お前の方だろ??大体、美亜は俺の女だったんだからな・・・」
「わりぃ、お前と喋ってる時間はない。じゃあな・・・」
徹也はさっさとエレベーターホールに向かって行った。
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