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5-2
飛行とは関係なく、羽がぱたぱたと動いているのがかわいらしい。
ふと思うのだけど、魔力って、人間の精神力……集中力とか持続力……とどう違うのだろう。麻美はもう二階の高さまでは飛んで──そのときだった、彼女が落下したのは。
くそぅ! と叫んで麻美はマットを殴った。
「魔力はまだまだ余裕があったのに!」
「でもかなりの進歩よ、そんなに自分を責めないで」と浅井さん。「それより自分で歩ける?」
「歩けます」
思い切り消耗したのだろう。いつものようにラボの中で、検査をしている麻美を待っていると、看護師の浅井さんがやってきた。
「原田さん、ちょっといい」
はい、なにか?
「鳩野さん、今日飛行リハビリですごい記録を更新したけれど、消耗が強いのよ。もうラボのなかで眠っちゃっているの。今夜はこのままラボで寝かしてあげてもらえる」
──あ、麻美が寝ちゃっているなら承知しました。それと、それ以外になにか異状はないのですよね?
「大丈夫よ、ただ、一緒に帰ろうと待っていたとこをごめんなさいね、もうこんな時刻だし……原田さんも帰り道気をつけてね」
ではごきげんよう、と浅井さんがラボに戻っていった。
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