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 麻美とプリクラを撮るときなんかのように顔の横ピース。麻美は右手、わたしは左手だけだけど。  その後、ゆっくりと高等部棟の屋上に着地する。  急に忘れていた1Gの重力がうちらの身体を拘束する。  あひゃあ、と妙な声をあげて、疲れたのだろう、麻美はおでこの汗を拭う。  麻美とわたしは盛大な拍手でお祝いされた。わたしはただ麻美の手を掴んでいただけなのに。  「おめでとう、鳩野さん、飛行に関しては完全復帰ね。それに原田さんもおつかれさま」浅井さんが(ねぎら)ってくれた。  「下でマットを移動してくださったラボの人達にもありがとうって伝えておいてください」と、麻美。  「ラボまで一人で歩ける?」  「歩けます」  「そう、でも無理しないで」  わたしは浅井さんに訊いてみた。  「検査は遅くまでかかりますか」  「そうねぇ。これ凄いことだし……検査が終わったら終わったで鳩野さん眠っちゃうかも。明日の授業もお休みしちゃう可能性だってあるわね」  ──なら、わたしも帰ります。麻美のこと、よろしくお願いします。  「ごきげんよう」  麻美と浅井さんはラボへ向かって行った。  原田さんも天文部のみんなもおつかれさま、と部長の小野木さんが言った。機材を片付けたら解散しましょう。
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