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 スマホで、聖パルーシア病院をググり、地図を表示させる。上が北だから、北北東はこっちか。高い建物もないし、きれいに見えそう。  七時半をすぎて、わたしはそれまでスマホに繋げていたAKG(アーカーゲー)のイヤフォンを引き抜く。エリック・ドルフィー最後の演奏、「ラスト・デイト」、ちょうど、ミシャ・メンゲルベルクが奇妙な味わいのピアノ・ソロをとっているところだった。  五分くらいして、見ていたあたりに光点が出現した──国際宇宙ステーション、略称ISS、ニックネーム〈きぼう〉が。  旅客機よりも少し速めにすーっと航行している。  「麻美が再び飛べますように。麻美が再び飛べますように。麻美が再び飛べますように」  ISSのほうが願いごとを三回言える余裕があって嬉しい。  二分ぐらい? サッカーのフィールドに近い大きさだという、ISSのソーラー・パネルからの太陽光反射がはじまりと同じようにすっと闇に消えていった。
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