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 小悪魔(コケット)鳩野(はとの)麻美と出会ったのは高等部二年になってから。だからまだ四ヶ月ぐらいの付き合いだけど、他の子とはなんだか仲良し度、みたいなものが異なる。  夢の中でも逢っていて、麻美とわたしが融合しちゃうような、そんな感じ。というより、好き、って言葉のニュアンスがお友達としての好きとは全然違う。  日本語には存在しない形容なんだ。  麻美はわたしの前の席に座っている。  最初に彼女から消しゴムを借りたいと言われたときの印象は、小悪魔なのに、なんだか寂しそう、そんなものだった。  ちょっと心配になって、声をかけるようになった。もちろん、他愛もないことばかりだったけど……。  「だと見慣れているかもしれないけどさ」  そう言って退院したばかりの麻美は焼きそばパンを食べながら、(つの)や羽や尻尾を出してみせる。制服の肩甲骨の辺りとお尻のちょっと上あたりが()りぬかれ、そこに、のれんのように制服の布地がついて、羽や尻尾がいつ出てもいいように加工されている。  触りたくなるんだけど、触られ慣れしてないからだめだと言う。
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