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3-1
麻美は、聖パルに付属する、小悪魔、ケモミミといった、「人外」系を研究するラボの看護師さんと飛行リハビリしていた。
わたしはグラウンドの片隅の斜めになった芝生のとこに座り、ラボの看護師、浅井さんがリードする麻美のリハビリを眺めていた。白衣の下のスーツにアガットのクローバーをくわえた鳩をあしらったペンダントがとってもお洒落だ。
ずいぶんイメージ・トレーニングをおこない、ちょっと身体を浮かせる本番に入った。
麻美の表情が、一段と真剣になった。
「重力異常値反応……!」と、白衣を着た浅井さんが手持ちの機器を見ながら告げる。
ただし、麻美の身体はまだ浮き上がっていない。
「無理はしちゃだめよ」
はい、と麻美。
そして一瞬、本当に一瞬だけ麻美の沓が地上から浮いた。
五ミリ、……十ミリ……十五ミリ……。
そこで麻美と浅井さんがあっ、と同時に声をあげた。
麻美の足は地上に落ちた、浅井さんの声はたぶん重力異常値反応が消えたことだろう。
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