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 「凄いわ、リハビリ開始してから初めての上昇よ」  「んー、浅井さんちょっとだけじゃないですかー」  「ちょっとでも前進よ前進」  そこで浅井さんはわたしを見る。  「原田さん、鳩野さんラボに連れていくのでお借りしますよ、いいかしら? それとも一緒に来ますか?」  ──一緒に行きます!  中はたぶん病院のようなものだろうけど、わたしは時間も空いていたし、なにより麻美と一緒に帰りたかったのだ。  ラボに着くと、まず浅井さんがデータをパソコンに入力した。  「見てこれ。鳩野さんが電気痙攣療法(ECT)を施術してもらったらいきなりこうよ」  画面上に「重力異常値:鳩野麻美」とあり、グラフはずーっと一番下でフラットラインを描いている、それが今日になってぐんと上昇している。  「動いたわけでもないから、月の引力よりもいい数値よ」  と浅井さん。  そのあとは、もっと専門的なエリアなので、わたしは入ってすぐのラボ待合室というか広報施設というか、そこで暇を潰していた。  本棚があって、さりげなく聖パルの人外研究誌などが飾られている。  そして、専門書が書棚に並んでいる。どれも面白そうだ。  『魔界概論』エーリッヒ・リーゼンフェルト  『小悪魔:(はだえ)からの吸精能力(サキュビリティ)』イサイ・ニキーロフ  『アナザー・ヒューマンの可能性』黒羽大吾  『半分人間』ブリクサ・ヴァーゲルト  『魔界にみる女性性(フェミニティ) 女性上位の王国史』グレン・ステファニー・ビーチャム  『ポリャンスキーの夢 地形(ジオ)に宿る地霊』キャサリン・サルダビー  『魔界に於ける転倒神学試論』カール・レーフラー  『ラバー・スーツの規律(ディシプリン)』パトリック・リンドグレーン  『カルナヴァル』ロスヴィータ・シュティークロート
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