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3-2
「凄いわ、リハビリ開始してから初めての上昇よ」
「んー、浅井さんちょっとだけじゃないですかー」
「ちょっとでも前進よ前進」
そこで浅井さんはわたしを見る。
「原田さん、鳩野さんラボに連れていくのでお借りしますよ、いいかしら? それとも一緒に来ますか?」
──一緒に行きます!
中はたぶん病院のようなものだろうけど、わたしは時間も空いていたし、なにより麻美と一緒に帰りたかったのだ。
ラボに着くと、まず浅井さんがデータをパソコンに入力した。
「見てこれ。鳩野さんが電気痙攣療法を施術してもらったらいきなりこうよ」
画面上に「重力異常値:鳩野麻美」とあり、グラフはずーっと一番下でフラットラインを描いている、それが今日になってぐんと上昇している。
「動いたわけでもないから、月の引力よりもいい数値よ」
と浅井さん。
そのあとは、もっと専門的なエリアなので、わたしは入ってすぐのラボ待合室というか広報施設というか、そこで暇を潰していた。
本棚があって、さりげなく聖パルの人外研究誌などが飾られている。
そして、専門書が書棚に並んでいる。どれも面白そうだ。
『魔界概論』エーリッヒ・リーゼンフェルト
『小悪魔:膚からの吸精能力』イサイ・ニキーロフ
『アナザー・ヒューマンの可能性』黒羽大吾
『半分人間』ブリクサ・ヴァーゲルト
『魔界にみる女性性 女性上位の王国史』グレン・ステファニー・ビーチャム
『ポリャンスキーの夢 地形に宿る地霊』キャサリン・サルダビー
『魔界に於ける転倒神学試論』カール・レーフラー
『ラバー・スーツの規律』パトリック・リンドグレーン
『カルナヴァル』ロスヴィータ・シュティークロート
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