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 「魔界・小悪魔」のカテゴリーに刺さっている本の一部を抜き出すと書棚はこんな感じだった。  なんとなく気になった一冊を選んで、ちらちらと読み始めた。麻美と付き合うのに必須だとは思わないけど、でも彼女のバックグラウンドなどをもっと知りたい。好きな人なんだもの。  それほど時間もかからずに麻美が浅井さんと一緒に戻ってきた。  「ごめんなさいね、ずいぶん待ったでしょう」  ──いえいえ、魔界研究の本読んでたらあっという間でした。  「すげぇな、鈴そんな本読んでたのか」  ──なんか気になるもんね、魔界。  「この地上のほうが本は面白いよ」  ──なら、地上の本、小説とかを魔界で出版するのはどうだろ? てかもうやられてるのかな? そういう本の海賊版(ブート)。  うんうん、と麻美。  どんなのが魔界で受けてるの?  「えー、いろいろだよラノベから三島由紀夫、谷崎まで」  谷崎潤一郎は確かに魔界で受けそうだ。わたしは本を書棚に戻す。  ごきげんよう、と浅井さんに挨拶して、麻美と手を繋いで帰る。
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