孤独の星

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もう何時間、そうして星を眺めていただろうか。 宇宙や、星座について、特段詳しい訳ではない。それでも、夜という昏い海に撒かれた銀砂の配置が、先刻より移り変わったのは分かる。 体はすっかり冷え切って、手も、足も。指先はじんじんとしている。 こうして宇宙(そら)を眺めている間だけは、僕の心にも安息が訪れる。もう一度、やり直せるんじゃないか。そんな希望さえ、浮かぶ。 しかし、あの狭苦しい国に帰ったら……きっと元の自分に戻ってしまう。 些細な事を気にしてしまう自分。何事もきちんと、間違い無く、正しく行える事。そこに思考が固執し、離れられない。 そんな僕の気質を、慎重だと、褒めてくれる人もいる。それは貴方の長所なのだと。 しかし、身をすり減らす慎重さの、何処が長所なのだろうか。僕は、そんな自分に、もう疲れ果てたのだ。 起きている間……時折、夢の中でさえ、自分の行いに、一点のミスも無かったかどうか気になって、まったく気が狂いそうになる。制止しても、思考を止める事ができない……できないんだ! 泣きたい。惨めな気分なのに、心は空っぽで、涙は流れない。 流星群の極大の時刻はとうに過ぎたはずだが、再び夜空に、たくさんの星が流れた。 テカポの夜空が、僕の代わりに泣いてくれている様な気がした。 (星になりたい) 再び、そんな事を思った。いや、それは願いに近い。
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